2017年04月09日

'audience'は単数か複数か?:アメリカ英語とイギリス英語

 先日、今年から『NHKラジオ 短期集中! 3か月英会話』という番組が始まったことをお知らせしました。

 

 最初の3か月のテーマは「スポーツボランティア」。オリンピック・パラリンピックのロゴが目印です。

 (なお、4月号はそろそろ手に入り難いかも? 5月号が出るのは4月14日あたりですので)。

 CEFRレベル(難易度)は「B1」とちょっと難しめですが、予習・復習をしておけば、かなり充実したテキストなので十分楽しめるとお伝えしました。

 テキスト初日の『Vocabulary Expansion』コーナーで、[audience](観客)を取り上げていると紹介しました。

 他の本を読んでいて、単数扱いか複数扱いになるのか、ちょっとした偶然の出会いの例文がありましたので、ご紹介します。

  
   
 まず、おさらいです。

 NHK3か月英会話の4月号、17ページには次のように書かれています。

 なお、audienceは単数扱いが原則ですが、イギリス英語では、個々の成員を指す場合、複数受けになるのが一般的です。

 NHKのテキスト例文では、「He spoke to an audience of high school students.」と出ています。

 これでは、audienceは単数扱いされているのか、複数扱いされているのか、はっきりとはわかりません。


 先日紹介した、ジェームス・M・バーダマン氏の文庫本、『日本人がかならず間違える英語』168ページで、

an audienceは「聴衆全体」の意味ですから、その中の1人は a member of the audience。

 というようにアメリカ流の説明をしていました。

 そして168ページの例文は、「The audience was deeply moved by the symphony's performance.」となっています。

 アメリカ人のバーダマン氏は、audienceを単数扱いし、当たり前のように、be動詞を[was]としています。


 では、NHKのテキストに解説があったような、イギリス英語例はあるのか?

 次の例文を読んでみてください。

 「The speech was boring, but the audience were all patient.」


 これは、行方昭夫(なめかた あきお)先生が岩波ジュニア新書から出している、『英語の発想がよくわかる表現50』という本の39ページの例文です。

 なぜ、行方先生は、be動詞に単数扱いの[was]ではなく、イギリス的で複数扱いの[were]を持ってきたのか。


 私の推測ですが、行方先生はイギリス英語(英文学)の研究者です。正確に言えば、東京大学教養学部イギリス科のご出身です。(アメリカ文学の研究経歴も、もちろんあります。)。

 留学経験もあり、サマーセット・モームといったイギリスの小説家の作品も翻訳されています。

 もしかすると、アメリカ英語である[was]ではなく、ついつい、イギリス英語の[were]をあてはめてしまったのではないか?

 そう推測しています。


 もしも、わざと[were]を使ったのであれば、高校生レベルの読者に対し、ちょっとした意地悪かもしれません。


 ちなみに、DUO 3.0の例文はどうなっているでしょうか?

 「The audience        impressed by his eloquent lecture.」

 349ページの例文です。

 このアンダーラインの所に、[was]が入るか?[were]が入るか?調べてみてくださいね。


 たまたま、おやつのように読み始めたジュニア新書で見つけた例文。

 こういう偶然の再会(例文の復習)というのは、突如やってくるものなのですね。

 

 

 

posted by あかり at 12:38 | 苦手な英語